2020年1月12日日曜日

スタッフインタビュー vol.8 医療コーディネーター・依田尚美 笑って毎日を過ごすために、定年後も働くことを選ぶ

クリニックにお越しいただく皆さんと、スタッフ一同、普段、コミュニケーションをとる機会はありますが、私たちのライフヒストリーについてお話することは滅多にありません。スタッフ同士でも、意外と知らないこともあります(笑)。

皆さんに、より安心して、クリニックにお越しいただき、お話いただけるよう、スタッフのインタビュー記事を不定期で連載しています。

第8弾は、2019年12月末月にクリニックに入ったばかりの依田尚美です。依田はこれまで看護師として佐久医療センターで働いていましたが、当クリニックでは、医療コーディネーターとして勤務予定です。

本インタビューは、当院に入ってから5日目に行なったため、これまでの来歴が中心になっています。ぜひ最新の話は、クリニックで依田に話しかけて直接お聞きください!^^


Q.依田さんは、佐久心臓血圧クリニックに来る前は佐久医療センターに勤めていらっしゃったんですよね。 


 はい。学生のときからずっと佐久病院なんです。佐久病院の看護学校に通い、佐久病院に就職して、40年間、定年まで勤めていました。  


Q.すごい!本当にずっと佐久なのですね!もともと佐久のご出身なのですか?  


 はい、生まれも育ちも佐久です。私は末っ子なのですが、兄たちが先に家を出てしまったので、なるべく親のそばにいたいと思ったんですよね。

Q.看護師さんの道を選んだのはいつ頃だったのですか?  


 中学生のときに、将来、何か手に職をもちたいと思ったんです。高校を調べていたときに、衛生看護科という、卒業とともに准看護師の資格をとれる科がある学校を見つけて、その高校を選んで進学しました。 高校に入ったら、周りはみんな看護師を目指していたので、特に迷ったり悩んだりすることなく、そのまま看護学校に進んで、看護師の道を歩んできましたね。

Q.佐久病院ではどんなお仕事をされてきたのですか?  


 私はいろんな科を渡り歩いていました。就職して最初は精神科に4年。そのあと血液内科に5年、人間ドック科に2年半、消化器外科に8年半、日帰り手術センターに7年、その後、クリニカルパス(*後述)の専任になって10年半、最後3年ほど地域医療連携室という、地域のクリニックや他の病院との橋渡し役のようなことをさせてもらって、定年しました。

Q.科が多岐にわたりますね。特に印象に残っている科はありますか? 


 消化器外科が楽しかったですね。私、昔は「死」と接するのが怖かったんです。学生時代、実習先の血液内科で若い患者さんが亡くなって…亡くなった人を見たのが初めてだったので、ショックを受けて、死が怖くなってしまったんです。なるべく死を避けたいと思って、それで最初、精神科を希望していました。

 消化器外科では、手術をすると大体の患者さんはよくなっていくし、その治っていく過程が明白だったんですよね。経験則から、「ああ、今日ここを乗り切れば、ご飯が食べられるようになるな」などと予測ができるぐらい。それが好きでしたね。 

 一方で、やはり、ご飯を食べられなくなったり、吐血して亡くなる患者さんもいらっしゃって、看取りも経験させてもらいました。その経験を重ねるなかで、学生の時から抱いていた「死」に対する心境が変わっていったんですよね。 

 学生の時には、亡くなったその瞬間の場面しか見ていないじゃないですか。でも自分が患者さんを受け持つようになったら、今度は、その方の生きてきた過程も見ている。だから、病気と頑張って戦ったり向き合っている患者さんに尊敬の気持ちが強く湧きましたし、私たちの手でできるだけあたたかく見送りたいと思うようになったんです。気がつけば、死が怖いものではなくなっていました。すごく大事な経験をさせてもらったと思っています。

 逆に人間ドッグ科は合わなかったですね。毎日ずっと同じ仕事で、自分の個性とか工夫とかが求められていない感じがつらくて…。「患者さん」ではなく「お客様」という感じでしたね。だからその頃は、定時の17時を数分超えただけでも「あら!働きすぎだわ。帰ります」って、そそくさと退勤していました(笑)。


Q.佐久心臓血圧クリニックにはどういうきっかけで入ったのですか?  


 もともと院長が諏訪赤十字病院にいた頃に、私が「クリニカルパス」についての講演会でおじゃまして知り合って、そのあと院長が佐久病院に移ってきたので、驚きの再会を果たしました(笑)。それから一緒に佐久病院の心臓血管外科のクリニカルパスを作っていました。

Q.「クリニカルパス」とは何ですか? 


 いわば治療のためのマップ(地図)ですね。例えば同じ胃がんの患者さんがいて、片方の人は7日間入院して、別の人は14日間入院する…というようなことは、基本的にないんですよね。この手術であれば、術後、何日ぐらいでご飯が食べられるとか、何日後にこの検査をしようとか、おおよそ何日で退院できるとか、だいたいの基準がつくれます。

 そうやって治療を”標準化”して可視化したマップがクリニカルパスです。これを使って患者さんに情報共有を行い、一緒にその治療のプロセスを達成して退院できるようにするものです。

 竹村院長が佐久病院に来たときには、まだ心臓血管外科のクリニカルパスが作られていなかったんです。院長はクリニカルパスを重んじてくれる人だったので、そこからどんどん作ってくれて、私もそこに協力させてもらいました。

Q.クリニカルパスは、お医者さんと看護師さんが連携しながら作るのですか?


 中心になるのは医師ですが、薬剤師さんや検査技師さんなどにも入ってもらって、チームで作り上げます。薬も検査も、治療の過程において大切ですからね。 クリニカルパスは一回作ったら終わりではなくて、何度も見直しては更新をしていきます。心臓血管外科は特に繊細な科なので、頻度高く更新をしていましたし、そのなかで、院長とも密にお仕事をさせてもらっていました。

Q.クリニカルパスを作る目的は何でしょうか? 


 医療を標準化することで、より高い質の医療を保つことができますし、効率的に治療を行えるため、患者さんの負担を減らすことにもつながります。私達医療従事者は、それぞれの仕事が可視化され、マップがあることで連携がスムーズに行いやすくなります。また、患者さんやご家族にとっても、患者さん用のパスを見ることにより、治療の全体像が可視化され不安も軽減できますね。 

Q.更新するときは、どういう基準で更新するのですか?


 例えば、クリニカルパスで、手術から14日間で退院できると設定しているけど、実際には、だいたい平均で17日ぐらいかかっているとしたら、クリニカルパスの設定が短すぎるので、日数をもっと長くする必要があります。逆に、設定しているよりも、短期間でみなさん退院できていれば、パスの設定も短くする必要があります。

 クリニカルパスの達成目標をクリアできないことを「バリアンス」というのですが、バリアンスがどれぐらいの割合で起きているかの発生率をデータで出して、その数字をもとに検証して見直しや更新を行っていきます。

Q.院長と佐久病院でクリニカルパスを一緒に作っていたご縁から、定年後にクリニックに入られたんですね。以前から定年後も働き続けたいと思っていらっしゃったのですか?


 元気ですからね(笑)。体だけは昔から丈夫で、本当に病気知らずなんです。ゴルフが趣味なんですけど、月に2回ぐらいゴルフに行って発散して、あとは仕事をする、っていうのが今までのライフスタイルだったので、休んでいる自分が想像できないんですよ(笑)。一人でいたら、どう過ごしたらいいのかわからなくて、ただぼーっとしちゃうので、働いていたほうがいいですね(笑)。



Q.40年間病院で勤めてきて初めてのクリニックですよね。病院とクリニックの違いを感じるところはありますか?


 佐久医療センターで最後に地域医療連携室にいたんですね。佐久医療センターは急性期病院のため長くは入院していただけず、いったん治療が終了したら、すぐに退院してもらうか、退院が難しければ転院してもらわないといけません。不安のない形で患者さんを地元に帰すために、その方の地元の先生をご紹介したり、「普段はかかりつけ医に通ってもらって、年に2回はセンターにきてくださいね」というような調整をしたりしていました。

 ですので、その時から、総合病院とクリニックの関係性や役割分担のようなものは、自分なりに考えたり感じたりしてきました。今度は逆の立場から医療センターを見られるので面白いですよね。ただ、やはり私はずっと総合病院で育ってきたので、クリニックの姿勢や視点に意識的に変えていかなければいけないとも思っています。

 また、まだクリニックに勤務して5日半目ですが(*取材日当時)、やはり患者さんとの距離が近いと思います。病院よりももっと”寄り添っている”感じがありますね。

Q.今後、クリニックでどんな風になっていきたいとか、こういう存在でありたいといった目標はありますか?


 クリニックに入る前、院長に「ここのクリニックで求めるものは何ですか?」と聞いたら、「患者さんに優しくしてくれて、他のスタッフと仲良くしてくれたらいいよ」と言ってくれたんです。それなら私にもできるかなと思って入りました。

 もちろん、きちんと役割は果たさなくちゃと思いますが、だからといってあまりがっついてやるというよりは、先生がスムーズに診療をできて、患者さんが気持ち良く帰れるように、落ち着いてお手伝いができたらいいなと思っています。

Q.患者さんや他のスタッフに向けて、よださんの”取扱説明書”といいますか、”こういうときはこうしてね”といったメッセージはありますか? 


 何か直したほうがいいところなど、気がついたことがあれば、遠慮なく言ってもらえればと思います。自分でいうのも何ですが、素直になれますし、言われて傷ついたりしないので。自分では気づけないことが必ずあるので、気づいた人に言ってもらえるとありがたいです。 

 これまで佐久病院のビルの中にずっといたので、世間のことは知らないことがたくさんありますし、患者さんから教わることも多いです。聞く耳をもつことは、今後も大切にしていきたいですね。

Q.仕事に限らず、今後どんなふうに歳を重ねていきたいですか?


 いつも笑っていたいですね。どんどん涙もろくなって、最近笑うと泣いちゃうんですけど(笑)。1日1個でもいいから楽しいことを見つけて過ごしたいですね。


Interview & Text & Photo / Ai.A