2020年5月26日火曜日

5月31日は世界禁煙デーです。当院も禁煙治療をおすすめしています。


たばこが身体に悪いことを知らずに吸っている人はほとんどいないでしょう。しかし、身体に悪いといっても具体的にどんな病気と関係しているのか、意外に知られていないようです。多くの人は肺がんの他になかなか病名をあげられません。

実際には、たばこを吸っていると、動脈硬化が原因で起こる心臓の病気や(虚血性心疾患)や脳卒中、肺の炎症が原因でおこる慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器の病気、糖尿病など全身の様々な病気にかかりやすくなります。がんについても。肺がんだけでなく、喉頭がんや胃がん、膀胱がん、子宮頸がんなど喫煙は多くの部位におけるがんのリスクとなります。

自分の意思や根性だけで禁煙を成し遂げようとすることはなかなかできません。加熱式たばこや電子たばこなどもよく出回るようになり、禁煙しているつもりになっている方も多く見られます。実は、加熱式たばこも電子たばこもニコチンや発がん性物質が認められているのです。また、健康のためにまず本数を減らし減煙から始める方は多いようです。しかし、これも虚血性心疾患のリスクを調査した研究では、1日1本の喫煙から心臓の病気になるリスクは高まり、健康上のメリットはありません。

さて、禁煙に挑戦しても、つい吸ってしまうのはなぜでしょう。これは、たばこの煙に含まれるニコチンがヘロインやコカインにも劣らない強い依存性を持っているからです。本数を減らせてもなかなかやめられない、習慣的に喫煙しているということは、「ニコチン依存症」であり、これは精神疾患です。

「長年吸ってきて肺は真っ黒だろうから、今さら禁煙しても無駄だな」などと考えていませんか?禁煙で起こる身体の変化は短期で実感できるものもあります。肺の機能は禁煙を始めて2週間~3ヶ月で回復がみられます。咳や息切れは1~9ヶ月で改善されます。実際に当院で禁煙された患者さんでも喉の調子が良くなった、痰が減ってきたなど喜びの声が聞かれています。健康な身体を取り戻し、さらに金銭面でも大きなメリットがあります。女性の方は、肌が明るくなり美容効果もあります。



そこで、当院での禁煙治療をご紹介します。 禁煙治療は一定の要件を満たし、医師がニコチン依存症の管理が必要であると認めた場合に健康保険等が適用され、窓口での自己負担額も軽くなります。要件を満たさない場合でも医師の判断により、自由診療で禁煙外来を受けることができます。自己負担額は(3割負担として)13,00020,000円程度です。

標準的な治療スケジュールは、初回診療で禁煙補助薬を決定します。その後12週間にわたり計5回の診療が行われます。さらに、2020年診療報酬改定において、2回~4回目の診療をオンライン診療で行うことが可能となり、当院まで受診に来なくても、家もしくは職場から診療が受けられるようになりました。

ぜひこの機会に、禁煙外来の門を叩いてみてください。私たちと一緒に禁煙をがんばってみましょう。
(K. T.)

禁煙治療薬を使用する治療のスケジュール

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