男性脱毛症(AGA:Androgenetic Alopecia)とは、男性に多く見られる進行性の脱毛症で、主に頭頂部や前頭部の髪の毛が薄くなり、抜け落ちていく症状を指します。遺伝やホルモンの影響が主な原因です。
主な特徴
- 発症部位:額の生え際が後退したり、頭頂部の髪の毛が薄くなります。
- 進行性:徐々に進行し、放置すると脱毛が進むことが多いです。
- 原因:男性ホルモン(テストステロン)の代謝産物であるジヒドロテストステロン(DHT)が、毛包に影響を与え、髪の成長サイクルを短縮させます。これにより毛が細くなり、最終的に抜け落ちます。
- 遺伝要因:遺伝も大きな要因で、家族に同じような脱毛パターンが見られることがよくあります。
治療方法
日本皮膚科学会から示されているガイドラインでは、男性脱毛症の治療に関して推奨される薬剤や治療法が段階的に示されています。以下が主な治療法です。
1. フィナステリド(内服薬)
- 概要:5α-リダクターゼという酵素を抑制し、男性ホルモン(DHT)の生成を抑えることで、脱毛を防ぎます。
- 推奨度:強く推奨されている治療法です。
- 効果:日本人男性を対象にした臨床試験で、有効性が確認されています。
- 注意点:副作用として、性機能障害などが報告されることがありますが、発生率は低いとされています。
2. デュタステリド(内服薬)
- 概要:フィナステリドと同様に5α-リダクターゼを抑制しますが、フィナステリドよりも広範なタイプの酵素を抑える効果があります。
- 推奨度:こちらも強く推奨されている治療法です。
- 効果:フィナステリドに比べてやや強い効果が期待されますが、副作用も類似しています。
3. ミノキシジル(外用薬)
- 概要:血管を拡張し、毛母細胞の活性化を促進することで、発毛を促す作用があります。
- 推奨度:外用薬として強く推奨されています。
- 効果:頭皮に直接塗布するタイプで、フィナステリドやデュタステリドと併用することもあります。
- 副作用:かゆみや頭皮の炎症が報告されていますが、重篤な副作用は少ないです。
4. 自毛植毛
- 概要:患者自身の毛を脱毛部分に移植する外科的な治療法です。
- 推奨度:推奨されているものの、手術による負担や高コストがデメリットです。
- 効果:持続的な効果が期待でき、他の治療法で効果が出にくい場合に選択されます。
治療法選択のポイント
- 早期治療が重要:AGAは進行性の脱毛症であり、放置すると症状が進行します。早期の治療開始が推奨されています。
- 治療は継続的に:効果が出るまでには数ヶ月かかることが多く、継続的な治療が必要です。中断すると再度脱毛が進む可能性があります。