クリニックにお越しいただく皆さんと、スタッフ一同、普段、コミュニケーションをとる機会はありますが、私たちのライフヒストリーについてお話することは滅多にありません。スタッフ同士でも、意外と知らないこともあります(笑)。
皆さんに、より安心して、クリニックにお越しいただき、お話いただけるよう、スタッフのインタビュー記事を不定期で連載しています。第7弾は、7月にクリニックに入った臨床検査技師の依田未希です。
Q.依田さんの「臨床検査技師」という職種は、あまり馴染みがないのですが、どういうきっかけで目指されたのですか?
高校生で進路を考えた時、手に職をつけたいという思いがあったのと、漠然と医療に興味があったので、地元の新潟大学のオープンキャンパスに行って、看護学部をまずは見に行ったんですね。身近に医療関係者がいるわけではなかったので、やはりパッと最初に思い浮かんだのは看護師さんで…。
それで見学に行った時に、新潟大学に検査技術科学専攻というものがあることを知って、初めて臨床検査技師の仕事を知りました。調べてみたら、検査のスペシャリストという感じで、専門性があるのがかっこいいなと思い、面白そうだったのでそのまま進学したという感じです。成り行きといえば成り行きですね(笑)。
ちなみに私のように四年制大学を卒業して臨床検査技師になる人もいれば、この職種につくための専門学校に通って、なる人もいます。
Q. 大学に進学してからは、4年間ずっと臨床検査技師に関わることを学ぶのですか?
そうですね。検査技師の仕事ってすごく多岐にわたっているので、幅広い知識を勉強しなければいけないんです。その幅広い領域の知識を学ぶのと、病医院での実習や卒業研究なども交えて、4年間を過ごしました。
検査にはいろんな種類があるのですが、当時から一番勉強していて楽しかったのが循環器のことで、心電図の授業が特に大好きでした。逆に、細菌検査や病理検査といわれる、顕微鏡をのぞくような分野はあまり得意ではなくて…。そういうのを勉強している時には、くじけそうになることもありましたね。
病院の検査技師の業務は大きく分けて2部門あって、1つが今私がやっているような、患者さんを直接検査する「生理検査」という部門。もう一つが、血液や尿など、患者さんから採取されたものを検査する「検体検査」です。就職活動をするとき、やはり私は心電図や心エコーの検査がやりたいと思ったので、生理検査のほうを志望して、無事配属されました。それから結婚が決まって退職するまでの4年半、新潟の病院の生理検査室で働いていました。
Q.結婚をきっかけに佐久にいらっしゃったんですよね?
はい。主人が佐久の出身で、大学時代からの付き合いだったのですが、主人が佐久総合病院に就職が決まったのを機に、結婚をして、私も一緒に移ってきました。それがちょうど2年前ですね。
佐久に来てからも、本当は検査技師の仕事を続けたかったのですが、縁もゆかりもない土地で、いろいろと環境も変わり不安もあったときに、あるご縁で、調剤薬局の事務のお話をもらって…。それを断って一から就職活動をする勇気が湧かなくて、薬局のお仕事を受けることにしました。引き受けたからには、責任を持ってやり遂げたいと思い努力しましたが、まったく畑違いなので、最初から覚え直さないといけないことも多くて大変でした。
クリニックへの就職が決まるまでの2年間、そこで働いていましたが、以前であれば、名前を見ただけでは何の薬かわからなかったものや、自分の専門外の薬も含め、膨大な量の薬の名前を覚えられました。それは今でも活きています。自分が望んだ道でなくても、一生懸命頑張っていれば、学びはたくさんあるし、いいことがあるって、思えるようになりました。
Q. クリニックに来たきっかけは何だったんですか?
それが本当に偶然で…。共通の知人を介して、院長に私のことを知ってもらう機会があったのですが、話をしていたら、院長がエコー検査ができる検査技師を探しているって言うんです。まさかそんな偶然があると思わなくて、最初は冗談だと思って、笑って流してしまったくらいです(笑)。逆に院長のほうも、薬局で事務をやっている人が、心エコーの経験がある検査技師だなんて想像もしていなかったので、運命的な出会いだねって話しています(笑)。
ご縁をいただいていた薬局に申し訳ない気持ちもありつつ、クリニックの話を聞くほどに、「検査技師の仕事に戻りたい」という気持ちが強くなって、このチャンスを逃したら、もうなかなかないかもしれないと思って、クリニックに入ることを決意しました。そして今年の7月から働いています。
Q. 検査技師のお仕事に戻ってどうですか?
よかったです。忙しいけど、毎日仕事が楽しい。仕事が楽しいって、こんなに大事なことだったんだなって、再認識しました。
Q. クリニックでは普段、どんな検査をしているのですか?
心エコー、つまり超音波を使って、心臓や心臓と繋がっている血管の検査をします。心臓の病気をもともと持っている人たちを定期的に評価したり、心臓の病気が疑われる人たちの心臓の機能を評価したり、あとは頸動脈のエコーで動脈硬化を調べることもよくありますね。
ただエコーを当てて診るだけではなくて、カルテを事前に読み込んで、他の検査の結果や患者さんが訴える症状や表情、体の状態をよく見て、どういった可能性があるかも予測をしてから、エコーをします。
どうしても他の検査に比べて時間がかかるので、なるべく患者さんの負担にならないように、限られた時間のなかで、最大限に丁寧に、なるべく早く、を心がけています。また、「どうしてこの検査をしなければいけないのか」「何がわかる検査で、どれぐらい時間がかかるものなのか」といったことを、必ず説明するようにしています。よくわからないまま検査をされて終わると、診察室で結果を言われても、腑に落ちないというか、なんとなくわかったようで、よくわからなかった、ってなりやすいと思うんです。検査の前と後でしっかりお話をすると、ありがとうって言われることが多いですし、「あなたに検査してもらえてよかった」と言ってもらえた時とかは、すごく嬉しいですね。
Q. 検査技師のお仕事のやりがいはどんなところにありますか?
エコーの検査って、一朝一夕にできるものではなく、結構技術が必要なんです。数ミリ動かしたり角度を変えたりするだけで見え方がガラッと変わります。正しくない断面で測定してしまうと、検査値も変わってしまうので、ミリ単位の細やかな作業が必要です。検査値は診断や治療を左右する大切なものなので、すごく神経を使ってやっています。他の血液検査などといった、ある程度機械が測定してくれるのですが、自分の技量がダイレクトに出るところが、大変だけど面白いところでもあります。
さらに、クリニックに来てからは、私が評価をして、その患者さんに手術が必要そうであったり、すごく重症で緊急性があるような場合に、すぐ院長のところに報告に行けるのが嬉しいです。これまでに実際、私が評価した人が、入院や手術が必要で、すぐに佐久医療センターに紹介をしたことがあって、自分の検査が診断に結びついていることをより強く感じられるので、やりがいがありますね。
Q. 最後に患者さんたちへのメッセージをお願いします。
定期的にいらっしゃっている患者さんの検査を担当して、お話を伺うと、皆さん「ここのクリニックは本当に丁寧で感じがいい」とおっしゃってくれるので、開院当初からスタッフの皆さんが頑張って作ってきたイメージを壊さないように、私も笑顔で明るく接したいなと思います。でも、患者さんが皆さんいい方々なので、普通にお話するのが楽しいんですけど。
これからも頑張るので、よろしくお願いします、とお伝えしたいです。
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