2021年6月2日水曜日

スタッフインタビュー 臨床検査技師・新津恵理奈 「もう戻らないつもりでいた」 5年のブランクからの復職とクリニックでの新たな挑戦

クリニックにお越しいただく皆さんと、スタッフ一同、普段、コミュニケーションをとる機会はありますが、私たちのライフヒストリーについてお話することは滅多にありません。皆さんに、より安心して、クリニックにお越しいただき、お話いただけるよう、スタッフのインタビュー記事を掲載しています。

今回は今年4月にクリニックに入ったばかりの臨床検査技師、新津恵理奈(にいつ えりな)です。


Q 最初に、「臨床検査技師」という職種、馴染みがない人も多いと思うので、どんなお仕事か簡単に教えていただけますか?

臨床検査技師は医療にまつわるさまざまな検査を行います。大きくわけると、血液や尿など、患者さんから採取したもの、これを「検体(けんたい)」と呼びますが、それを検査する「検体検査」と、心電図やエコーなどを使って、患者さんの体を直接検査する「生体検査」の2種類があります。クリニックでは両方やりますね。

Q どうして臨床検査技師の道に進まれたのですか? 

高校卒業後の進路を決めるときに、大学には行こうと思ったんですけど、何学部に行くか悩んでいたんですよね。そのとき親から、これからの時代は何か資格をとっておいたほうがいいんじゃないかと言われて、それなら医療系か教員かなと思ったんです。その2つのどちらかといったら、うちは父親が昔から結構、病院通いをしていて、私も付いていくこともあったので、医療のほうがある種の身近さがあったんですよね。

じゃあ医療の道にしようと思って、なかでも最初は、リハビリなどを担当する理学療法士に興味があったんです。でもセンター試験の結果を見たら、その方向は厳しそうで
。残った選択肢が看護師か臨床検査技師でした。でも私のなかで、看護師さんってものすごく大変そうなイメージがあったので、じゃあ臨床検査技師かなって。当時、どういう仕事かあまり理解していなかったんですけど、選んでしまいましたね(笑)。

Q たしかに看護師さんはイメージが湧きやすいですけど、臨床検査技師って、あまり知られていないですよね。

そうですよね。私も大学で学びながら「検査技師ってこんなこともやるんだ!」って知っていくことも多かったです(笑)。「絶対になりたい!」という思いがあって入ったわけじゃなかったので、勉強がしんどい時期には、何度かやめたいと思ったこともありました。でも、実習が始まったらおもしろくて、続けられましたね。

Q どんなところが面白かったのですか?

体の中で起きていることがわかるのが面白いなって思ったんです。血だったり尿だったり心電図の電極をつけたりすることで、外からは見えないし、感覚でも捉えられないような、体内のことがわかるんです。それがすごくおもしろいと思いましたね。

Q 大学卒業後はどうされたのですか? 

総合病院で9年ほど働いていました。

Q前職ではどんな検査を担当されていたのですか?

私は部署の異動が多かったんです。就職して最初に配属になったのが、病理という部門なんですけど、そこは手術して取り出した臓器の細胞から癌の検索をしたり、亡くなった方の解剖をしたりする部署でした。そこにいたときが、精神的にも肉体的にも負担が大きく結構しんどかったですね。

そこに
3年いたのちに、血液や尿を検査する検体部門に異動して3年ほど。さらにそのあと、心電図やエコーをやる生理検査の部門と、検体部門の両方を掛け持ちして3年ほど働いていました。

そんなふうに転々と異動していたので、一つの部門に長く居る人に比べると、どうしても経験値的には少ないんですけど、でも、いろんな経験をしてきたからこそ、クリニックで、血液も心電図もエコーも全部やってくださいって言われても、あまり抵抗がなかったですね。


Q 佐久心臓血圧クリニックに入ったきっかけは何だったのでしょう?

クリニックに入る前は、
5年ほど専業主婦をしていたんです。上の子が年少にあがるタイミングで、下の子と一緒に保育園に預けて、仕事をしようかなと思い始めました。でも実はそのとき、検査技師の仕事にはもう戻りたくないと思っていたんです(笑)。5年離れていたので技術も知識も衰えていましたし、別の仕事もやってみたいっていう気持ちがあって。

とはいえ、いざ探そうとしてみると、1からまったく新しいことを覚えるのは自信がなかったり、関心がある領域の働き口はあまりなかったりして。コロナの影響も長引いていたのので、やっぱり働くのは先延ばししようかなって思っていたタイミングで、院長から、クリニックで働かないかと声をかけてもらったんです。

Q 先ほど「臨床検査技師の仕事にはもう戻りたくなかった」とおっしゃっていましたが、クリニックに入るのを決めたきっかけは 

総合病院の検査技師と、クリニックの検査技師は、もしかしたら同じ職種でも少し違うかもしれないなと思ったんですよね。あとはやっぱり、自分を必要としてもらえたことが嬉しくて、やってみようかなって決めました。

Q 実際、クリニックで働いてみて、総合病院との違いを感じるところはありますか?

まだ1ヶ月しか働いていないので、ぼんやりとした感覚ですが、何より患者さんとの関係性や距離感は違うなと思いますね。総合病院だと、検査技師もたくさんいますし、一度検査した人をもう一度診ることって稀なんですよね。偶然、同じ人を検査することがあっても、患者さんは私のことをたぶん覚えていないと思います。

でもここのクリニックでは、予防医療を大事にしているのもあって、短期的な治療で終了される方より、通っていただいて長いお付き合いになる方が多いんですよね。だから、スタッフの人たちも患者さんのことをしっかり覚えているし、患者さんの側もスタッフひとりひとりを「〇〇さん」って名前で呼ぶぐらい覚えてくださっている。こういう関係性っていいなと思います。

職場環境としても、スタッフの人たちもみんな明るくて、いい空気だなと思っています。クリニックでは、スタッフが少人数で、基本的にひとりひとり役割も違うので、いい意味で自分の役割に集中できますし、他のスタッフの人たちにリスペクトを感じやすい気もしています。
ただ、少人数だからこそ、倒れられないなとも思いますね(笑)。クリニックに勤めるようになってからは、子どもたちが保育園から帰ってきたら真っ先に手と足を洗わせています(笑)。

Q 臨床検査技師の仕事をやっていてよかったなと思うのはどんな時ですか?

やっぱり、検査をしたことで病気を見つけられた時ですかね。病気が見つかることは、患者さんからすれば悲しいことでもあるとは思うんですけど、でもやっぱり、今ここで見つけられてよかったなって思いますし、そのお手伝いができたことはうれしいです。


Q クリニックに入ってまだ1ヶ月ではありますが、今後挑戦したいことや目標はありますか? 

院長から言われていて、ゆくゆく頑張りたいと思っているのは、腹部エコーの検査結果を患者さんに説明できるようになること、ですかね。

総合病院にいた頃は、検査技師は検査室で患者さんに説明をしてはいけないっていうルールだったんです。検査をしている最中に、たとえば同じところばかり見ていたり、どこかで写真をとったりすると、「そこに何かあるんですか?」「もしかして癌ですか?」って不安に思われて聞いてくる患者さんもいらっしゃるんですね。でも、検査技師がそこで話をして、そのあと医師から違う説明があったときに、患者さんの不安を余計高めてしまうじゃないですか。だから検査技師は検査だけして、検査結果の説明は医師にしてもらうっていうのがルールだったんです。なので、ここに来て院長から「あなたから説明してね」って言われたときには、驚きましたね(笑)。

最近は医療現場で「チーム医療」ということがよく言われていて、医療に関わるさまざまな職種の人が、それぞれの専門性を活かして連携して診療にあたる形を理想としているんですけど、
クリニックに来てからは、「みんなで一緒のチーム」っていう感覚が前よりしています。

あとは、やっぱり患者さんに顔と名前を覚えてもらいたいです。検査をする上でも、呼吸を一時止めてもらうとか、患者さんの協力が必要なことも多いんです。なので、リラックスできる空気を作りたいですし、患者さんとの関係性をもっと育めたらいいなと思っています。


Interview & Text / Ai.A

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